腰痛 筋肉を鍛えてもダメ

⑥筋肉を鍛えてもダメ
 そもそも、体を支えるのは「骨格」の仕事です。
「腰痛の原因」も骨格の要(かなめ)である骨盤の「仙腸関節」が歪む事が原因ですから、それなのに「筋肉」を鍛えても事は解決しません。
体の中に「骨」と云う硬い組織が、ちょうど「ヤグラ」を組む様に力学的に正しく配置されれば「骨」が体を支えてくれます。骨格がその様な正しい状態だと「筋肉」はあまり使わなくて良くなります。
 体を支える事に「筋肉」を使わないので「楽」だし「疲れない」のです。当然、動く姿も滑らかで美しく、それが本来の姿なのです。
 昔からの武道や、日本の芸能、茶道や華道なども武士が作り出した文化なので、武道の心が底辺にあり、「骨格」を正しく使う事が基本となっています。
 よく腰痛には「腹筋・背筋を鍛えなさい」と云う人が多いですが、それは外側の筋肉で体を挟んで、腰に掛かる力をカバーする事が目的なので、本質的な解決にはなっていません。
 筋肉を鍛えて痛みをかわす事は、いよいよ困った時には有効ですが、仮工事の様なものなので、機会をみて本工事をして行かなくてはなりません。
 穴の空いた道路に取り敢えず鉄板を敷いておいたり、吹き飛んだ瓦屋根にビニールシートを覆って置く様なものです。
「骨格は正しく」「筋肉はしなやかに」これが本来の状態です。
 筋肉に限らず、何にでも言える事ですが「質」と「量」と云う要素があります。
「質」は良い方が良い。「量」は丁度良いのが良い。
筋肉にとっての「質」とは、先ずは「しなやかさ」です。力を入れると筋繊維が縮まり、力を抜くと縮まった分が緩む。力を抜いた筋肉は「ふにゃふにゃ」が良いのです。
サッカー選手の太もも、ラグビー選手の大胸筋も、力が入って無い時は「ふにゃふにゃ」だそうです。
 力を入れて無いのに硬いくなったままの筋肉は、動物として「異常事態」です。
 そんな動物は自然界ならライオンに真っ先に食われるか、現代社会では微生物(病原菌)の餌食になっています。
一番悪いのは「質の悪いものが沢山ある」状態です。体で云うと、硬くなった筋肉が沢山付いている状態です。
 筋肉が硬いと云う状態は、筋肉が縮んだままになっている状態ですから、既に「縮幅(ちぢみはば)」が有りませんし見方を変えると、常に「骨格」を引っ張って体の動きを不自由にして、常に血管や神経を圧迫している状態です。「腰痛」に限らず、あらゆる「病気」の真原因です。
言ってみれば「自縄自縛」状態。一般に「体が硬い」と云うのはこの状態です。
 正しい動きが制限されているのに、鍛えようとして過剰に負荷を掛けると体は壊れます。
 会社で例えると働かない社員を沢山抱えている状態。経費ばかり掛かる。この分が働いてくれたら大変な戦力になるのに。
 最も重要なのは「柔軟性」。
 骨格は正しく。筋肉は「鍛える」のでは無く「しなやか」である事が必要です。

p.s 今ちょうどYouTubeを観ていたら、当然ながら外野手としても最高のイチロー選手に、オバマ大統領が質問をして「あの素晴らしいレーザービームの秘訣は何だい?」
イチロー「柔軟な筋肉」と答えていました。強い筋肉は必要ない。
皆さんはレーザービームが出来る必要はありませんが、誰もが一生を生きて行く「人生のプレーヤー」として、素晴らしいアドバイスだと思います。

2020年6月12日